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相続した不動産を売却した場合の税とは?相続税も含めて解説

遺産に不動産が含まれる場合、その不動産が不要である、遺産分割のため現金を捻出する、また相続税の納税資金を確保するなど様々な理由で、売却を検討するケースが多いようです。

このとき、税金を含め、不動産の売却による経済的負担がどれくらいかかるかを心配される方が少なくありません。

相続財産に不動産が含まれるとき、売却の際に意識すべき負担には以下のようなものがあります。

①不動産の処分自体にかかる費用
②不動産を処分したことで発生する税金
③不動産を処分したことで増加する経済的負担

そこで、相続した不動産を売却したときの経済的負担について解説します。

不動産の処分自体にかかる費用

固定資産税

被相続人が、亡くなる前まで固定資産税をきちんと支払っていたかは分かりません。これは不動産がある自治体に、相続人として問合せすることで確認することができます。

また、相続開始後、売却までの固定資産税は相続人が負担することになります。

固定資産税の納付書が手元にあれば税額がわかりますので、どのようにこれを清算するか、遺産分割と売却の前に相続人間で確認する必要があるでしょう。

仲介手数料

不動産の売却は、ふつう仲介業者に依頼することになると思います。当然ですが、売却すれば仲介業者に支払う仲介手数料が発生します。

一般的な仲介手数料は、売却価格(税抜)の3%+6万円です。

登記手数料

不動産を売却する場合、買主に対して不動産登記名義を変更しなければなりません。

この売却による名義変更は、司法書士に依頼します。司法書士の報酬に加えて、登記名義の変更にかかる税金(登録免許税)がかかります。通常、登録免許税込みの金額を司法書士に支払います。

例えば1500万円の土地であれば、登録免許税22万5000円+司法書士の報酬3万円~7万円程度が一般的です。

これは、あくまで「売買」の登記にかかる費用です。

売却の際の不動産名義が被相続人のままであれば、売却の前に「相続」の登記を経て相続人の名義にしてから売却する必要があります。

この相続登記の費用は、売買登記とは別にかかります。

先ほどの例で1500万円の土地であれば、登録免許税4万円+司法書士の報酬5万円~10万円が一般的です。ただし、相続人の数が多いと数十万円になるケースもあります。

残置物撤去費用

相続した不動産を売却して買主に引き渡すときには、不動産上にある不要物は全て撤去しなければなりません。

相続した不動産が被相続人の自宅であった場合、遺品がそのまま残っていることが多いですが、遺品整理業者に依頼して全て片付けてもらう必要があります。

遺品整理業者の撤去費用は、一般的には30万円~50万円程度です。

収入印紙

細かいですが、売買契約書には印紙税がかかりますので収入印紙の費用がかかります。普通の不動産売買では1万円が多いです。

不動産を相続し売却したことでかかる税金

相続財産に不動産が含まれるとき、売却までにかかる税金として相続税と譲渡所得税を意識する必要があります。

相続税

相続税は正確に言えば不動産を相続したことに対する税で、その後当該不動産を売却したことに対する税ではありません。

言い換えると相続税は、相続した不動産を売却してもしなくても発生するものです。

被相続人から財産を相続すると、その額に応じて相続税の支払いが発生します。

また、原則として相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った(相続が開始したことを知った)日の翌日から10か月以内に行わなくてはなりません。

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譲渡所得税

さらに、相続不動産を売却して発生した利益(譲渡益・売却利益)に対しては、譲渡所得税の申告・納税も必要です。

これは所得税の一種であり、相続税とは別に発生します。

譲渡所得税は、不動産を売却して得た収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

不動産譲渡所得=収入金額-(譲渡費用+取得費)

取得費は不動産を取得するための費用、譲渡費用は売却手続にかかった費用と考えてください。

相続税と譲渡所得税の調整

不動産を相続してすぐ売却する場合、相続税と不動産譲渡所得税を両方支払うのでは二重の負担になってしまうため、相続税を支払った場合に譲渡所得税を軽減できる軽減制度があります。

不動産を売却することで増加する経済的負担

不動産を売却することで譲渡所得が生じる場合、売却した翌年の所得税確定申告で譲渡所得を計上することになります。

所得税以外に市県民税、国民健康保険料などは所得税で申告した所得に応じて負担額が決まりますので、譲渡所得の発生は所得税の金額が上がるだけではなく、それに連動して市県民税や国民健康保険料も上がることに注意が必要です。

相続不動産を売却する際の注意点

被相続人の不動産購入契約書・権利書は残っているか

被相続人から相続した不動産を売却する場合、その昔被相続人が当該不動産を購入したときの売買契約書が残っているかはポイントになります。

譲渡所得税の「取得費」を計算するにあたり、昔の売買契約書が残っていればそれをベースに取得費の計算ができますが、それが残っていないと概算で取得費を計算せざるを得ず、結果的に譲渡所得税が高くついてしまうからです。

また、被相続人が保有していたはずの当該不動産の権利書(登記済証)が残っているかもポイントです。

なぜなら、これが残っていないと不動産の相続登記や売却登記の際に、登記のための費用がかさむ可能性があるからです。

相続人を代表して売るときには税負担に注意

複数の相続人で不動産を相続し、売却して売却代金を相続人で分けることにしたとします。

この時代表相続人1名を決めて、形式上は代表相続人が単独で不動産を相続して単独で売却する形にすることが、手続が複雑になるのを避けるために実務上よく行われます。

しかし、形式上単独で相続し単独で売却する場合、固定資産税や譲渡所得税は代表相続人1名にかかることになります。

したがってその経済的負担の清算まで考慮して相続人間の分配を決めないと、思わぬトラブルを生じさせる危険があるので注意です。

まとめ

以上のように、相続した不動産を処分しようとすると、仲介業者、司法書士、遺品整理業者など複数の専門業者の手を借りることになります。

また、売却によって譲渡所得税や市県民税等の負担がどれくらい発生し増額するのかシミュレーションしようとすると、税理士の手も借りなければなりません。

様々な専門家に対していちいち自分で声をかけるのが煩雑でしたら、専門領域を超えて連携し、1つの相続案件に関してワンストップサービスを提供している専門家チームに相談するのがおすすめです。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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