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贈与と相続どちらが得?

はじめに

Q:最近、知人から生前贈与の手続きを始めたという話を聞きました。贈与の方が相続よりも税率が低くて節税につながるのだそうです。
本当に相続より贈与の方が得なのでしょうか?

「贈与と相続、どちらが得か」よく聞かれる質問です。しかし、保有している相続財産の金額によってどちらが得になるかは異なります。
ここでは、贈与と相続の違い、それと贈与する場合の手続きについて詳しくご紹介します。

相続と贈与の違い

相続は、被相続人の死後に相続人が財産を受け取れる制度であるのに対し、贈与は被相続人が生きている間に財産を受け取る制度(契約)ものです。
そして、課税のタイミングも、相続の場合は死後、贈与の場合は生前と異なります。
ただ、どちらも共通しているのは基礎控除があることです。

相続税と贈与税の計算方法

まず、相続税の基礎控除額は、

3000万円+(600万円×相続人の数)

で計算します。例えば、6000万円の相続財産を配偶者1人、子ども2人で相続する場合の基礎控除額は

3000万円+(600万円×3人)=4800万円

となります。この家族の場合、相続財産が4800万円までなら相続税がかかりませんが、

6000万円-4800万円=1200万円

この1200万円に対して相続税が課税される計算になります。

相続税率は段階的に上がっていきますが、3000万円までなら12%なので

1200万円×12%=144万円

すなわち144万円の相続税を支払うことになるのです。

相続税が課税されないようにするには、相続財産がなければよいのです。

生きている今のうちから贈与を行い、相続財産を少なくしておけば相続の際に課税額を抑えることができます。

贈与するときの注意点

贈与税は、贈与された金額に応じて課税されます。年間110万円までなら贈与税はかかりません。問題は、110万円を超えた時です。

200万円以下なら10%、400万円以下なら15%と段階的に税率が上がっていき、最高で55%まで課税されます。

先程挙げた例で言えば、相続財産を4800万円に抑えるために、
1200万円を配偶者1人と子ども2人に対して生前贈与を行っておけば、相続税を支払わなくて済むのでお得になるわけです。

しかし、基礎控除額が110万円を超えた部分に贈与税がかかるので、贈与する金額に注意が必要です。

例えば、1200万円を3人に対して400万円ずつ、一度に贈与するとします。

400万円-110万円=290万円

この290万円に対して贈与税が課税されます。290万円の贈与税率は15%なので

290万円×15%=43万5000円

一人当たり43万5000円が課税されるわけです。3人分の合計が

43万5000円×3人分=130万5000円

となるので、144万円の相続税よりは幾分か税額は抑えられる計算になります。

しかし、一度にまとまった金額が動く相続とは違い、贈与は小分けに財産を分け与えられる利点があります。

贈与税が課税されないよう、贈与を基礎控除額110万円の範囲内で繰り返すと良いでしょう(なお、毎年同じ金額だと定期的に支払われる定期基金とみなされます。

そうすると、贈与税が発生する恐れがあるので、年ごとに金額を少しずつ変えて贈与することをおすすめします)。

贈与と相続、どちらが得か保有財産の金額によって異なる

やや複雑な計算になりましたが、保有財産の金額が相続税の基礎控除額を超えるときは、贈与を行った方が得になります。

もし相続財産の額が相続税の基礎控除額を超えていても、生前贈与を行うことで相続財産を基礎控除の範囲内に抑えることができます。

相続財産を少なくしておけば、相続税はかかりませんし、贈与の金額に気をつけていれば贈与税も節税できます。

より詳しい計算方法を知りたい方は、相続に詳しい弁護士にご相談いただければ個別に対応いたします。お気軽にお問い合わ

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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