自宅の処分をめぐって話がまとまらない
■まとまりやすいケース
被相続人の遺産が、自宅不動産のほかに自宅不動産の価値を上回るだけの金融資産がある場合、自宅を取得しなかった相続人が他の財産を取得することで、円滑に公平な遺産分割を行うことができます。
また、相続人の誰もが被相続人の自宅不動産の取得を希望しない場合、自宅を売却して現金で均等に分割することができます。
■話が難航するケース
問題は、相続人の中に被相続人の自宅の取得を希望する人がいて、他の相続人に分配するだけの他の資産が十分にない場合です。
日本は持ち家志向が強く、相続財産の総価値に占める自宅不動産の割合が大きくなっており、こういうケースは数多くあります。
ひとつの方法としては、自宅を取得した相続人が、相続財産以外の固有財産の中から他の相続人に代償分を支払う方法があります(代償分割)。
そのような代償金を一時金として支払うことが困難であれば、相続する自宅を担保として代償金相当額を金融機関から借り入れ、長期的に分割返済していく方法もあります。
また、他の案としては、自宅の取得を希望するのが被相続人の配偶者である場合、自宅を配偶者に取得させ、他の相続人はその他の財産を分割取得したうえで、二次相続の際にあらためて空き家になった自宅の売却を検討する方法も考えられます。
■話し合いがつかない場合
どうしても話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を経て最終的に審判官(裁判官)に自宅の取得者を決めてもらうことになります。
ただし、家庭裁判所は遺産分割審判で相続人各自の生活状況を大きく変えてしまうことに慎重なので、被相続人の配偶者など、自宅不動産に居住し続ける相続人がいる場合は最終的にその相続人を取得者にする傾向が強いように思います。
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このコラムの監修者
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福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。