遺言書を作成したい
目次
遺言でできること
遺言でできることは、主に以下のことです。
①相続割合の変更
②財産処分方法の指定
③身分関係の指定
① 相続割合の変更
まず、遺言で相続人の相続割合を決めることができます。民法では、あらかじめ決められた法定相続分がありますが、これと異なる相続割合を遺言で指定することができます。
例えば、妻の相続分を4分の1、長男の相続分を2分の1、長女の相続分を4分の1に変更できます(図1)
法定相続割合 | 遺言で指定した相続割合 |
妻 2分の1 | 妻 4分の1 |
長男 4分の1 | 長男 2分の1 |
長女 4分の1 | 長女 4分の1 |
ただし、各相続人の遺留分を侵害する場合は、侵害された相続人が遺留分減殺請求を行った場合、遺言で意図したとおりに相続させられない可能性がありますので要注意です。
② 財産処分方法の指定
1.遺産分割方法の指定
遺言により、個別具体的な財産について、相続により取得する人を指定することができます。「自宅不動産は妻が取得する」、などです。
2.遺贈
相続のときに、指定した人に財産を贈与することができます。相続人に対しても遺贈できますが、普通は相続人でない人に財産を残すときに使われます。相続人でない人には相続権がありませんので、遺言によらなければ遺産を分けることはできません。
3.生命保険の受取人の変更
平成20年に施行された新保険法では、遺言によって保険金の受取人を変更できることが明文化されました。ただし、生命保険の受取人に指定できる人は、保険約款で一定の親族に限られていることがほとんどですので注意が必要です。
4.墓を受け継ぎ、法要を主宰する人の指定
残念ながら、相続人が複数あるときには、誰が先祖代々の墓を守り、法要を行っていくかが決まらない(押し付けあう)ことが多いです。遺言を作成することで、誰がこれらを行うかを指定することができます。
③ 身分関係の指定
1.認知
遺言によって、認知することができます。ただし、通常の認知同様、認知の相手が20歳を過ぎていれば本人の承諾がなければ認知の効力は生じません。
2.未成年後見人の指定
未成年の子どもがいて、自らの死亡により親権者が不在になる場合は、遺言で未成年後見人を指定することができます。
遺言は最後のメッセージ
以上が法律で決められた主な遺言事項ですが、遺言には法律で定められた事項しか記載してはいけないわけではありません。自分の死に際して、残される大切な家族、友人、恩人などに向けて最後のメッセージを残せば、それは感動をもって伝わるのではないでしょうか。遺言を作成する際には、ぜひ最後のメッセージを残しましょう。
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このコラムの監修者
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福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。