



遺産分割協議書は、不動産の相続などでは必ず必要となるほか、のちの紛争を防ぐための証拠にもなる重要な書類です。
しかし、作成の手続きや書類に不備があった場合は遺産分割協議書が無効となり、かえって相続トラブルの原因になってしまう場合もあります。
目次
遺産分割協議書とは、相続人同士の話し合いで遺産の分け方を決めた時(遺産分割協議)に、その内容を書面の形で残しておくものです。
遺産分割協議書は法律上必ずしも作らなくてはいけないというものではありませんが、相続人全員の同意のもとで遺産分割をしたことを証明するための重要な証拠となります。
また、不動産の名義変更の時などにも必要となるため、手続の都合上遺産分協議書を作成しなければならない場合も多くあります。
一度有効に作成した遺産分割協議書は、他の相続人全員の同意を得ない限りは撤回できないのが普通です。
したがって、遺産分割協議書は、慎重に作成することになりますが、次のような場合はせっかく作成した遺産分割協議書が無効となり、かえって争いのもととなることもあるので注意が必要です。
有効な遺産分割協議書を作るためには、相続人全員の署名・押印が必要となります。
一部の相続人を除いて遺産分割協議を行い、それにもとづいて作成した遺産分割協議書は無効です。
また逆に、相続人以外の人を加えて作成した場合も無効になります。
認知症や知的障害などが原因で、遺産分割協議に必要な判断能力がない相続人がいた場合、後見制度を利用して当該相続人に代わって協議を行う人をつけなければなりません。
こうした手続を怠ったまま行われた遺産分割協議も無効になります。
遺産分割協議書にすべての財産が正確に記載されていなかったことが原因で、相続人が「自分のもらえる財産はこれだけ」と誤信して署名・押印した場合も、遺産分割協議書が無効になる可能性があります。
もし正確な財産がわかっていたのであれば、その内容の遺産分割協議に応じる可能性がなかった、といえるためです。
遺産分割協議書作成後に遺言書が見つかった場合も、遺産分割協議書が無効になりやすいケースです。
特に、遺言と遺産分割協議書の内容に大きな違いがあった場合、「遺言書があることがわかっていれば、遺産分割協議書にサインしなかった」という相続人が出てくる可能性が高いです。
そのような相続人が遺言内容の実行を求めると、それまでの遺産分割協議は無効となります。
有効な遺産分割協議書を作成するためには、相続財産の調査、遺言の有無の確認などクリアしなければいけないポイントがいくつもあります。
後のトラブルを避けるためにも、弁護士に一度相談することをおすすめします。
このコラムの監修者
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。