寡婦年金
主に夫が家計を支えていたような場合では、夫が亡くなると妻は収入の道が途絶えてしまいます。そうした妻を経済的に支える公的制度が、寡婦年金です。
目次
寡婦年金とは
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者である夫が死亡した場合に、その妻が受け取ることができる年金です。
第1号被保険者は、自営業や農業・漁業者、無職、学生、その配偶者を指します。
寡婦年金の特徴は、遺族基礎年金とは違い、18歳未満の子供がいない人でも受け取ることができる点です。そのため、子供のいない妻や、すでに成人した子供のいる妻でも支給を受けることができます。
支給が認められれば、夫が生きていれば受けたであろう老齢基礎年金の3/4の金額が支給されます。
寡婦年金の受給条件
以下、寡婦年金の受給条件について詳しく見ていくことにしましょう。
国民保険料の納付期間が10年以上であること
国民年金の第1号被保険者である夫が、保険料を10年以上(免除期間を含む)納めていることが必要です。
なお、サラリーマン・公務員といった厚生年金に加入している第2号被保険者が死亡した場合は、遺族厚生年金の対象となります。
婚姻期間が10年以上の妻であること
10年以上婚姻している妻が対象です。この婚姻には法律婚だけではなく、事実婚も含まれます。
逆に、10年以上婚姻をしている場合でも、夫は対象外となります。
妻の年齢が60歳以上65歳未満であること
60歳以上65歳未満である妻に支給されます。夫が死亡した当時、60歳未満の妻に対しては、60歳になったときから支給が開始されます。
夫が老齢基礎年金や障害年金などを受け取っていないこと
夫が老齢基礎年金や障害年金等を受け取ったことのないまま、死亡していることが条件となります。
逆に、すでに夫がこれらの年金の支給を受けている場合は、寡婦年金の対象とはなりません。
他の年金を同時受給していないこと
寡婦年金は、妻自身の老齢基礎年金や障害年金、あるいは遺族基礎年金といった他の年金との同時受給はできません。
また、夫が死亡したときにもらえる死亡一時金との同時受給もできません。
したがって、複数の年金を受けられるようになった場合は、どれか1つの年金を選ぶ必要があります。
ただし、18歳未満の子供がいる場合に支給される遺族基礎年金については、同時受給でなければ受け取ることが可能です。子供が18歳になるまで遺族基礎年金をもらい、その後遺族基礎年金の支給が打ち切りになったら、今度は寡婦年金をもらうといったことはできます。
寡婦年金関連の相談は弁護士に
寡婦年金を始めとする遺族年金関連の手続きは複雑です。また、夫が死亡となると、その後の相続の問題も出てきます。法律上のアドバイスが求められる場面も多々ありますので、不安なことがありましたらぜひ弁護士にご相談ください。
このコラムの監修者
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福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。