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エンディングノートに記載すべき内容

 

誰しもが人生を終える時が来ます。それがいつ、どのような形で来るのかは誰にもわかりません。大切な人に最期の言葉を伝えられないまま「その時」を迎えるかもしれません。

 

エンディングノートは、自分自身の生き方を振り返り、家族への大切なメッセージを残すことができます。どのようなことを書けばいいでしょうか。

 

エンディングノートの役割

大切な家族を失ったとき、葬儀や納骨の方法をめぐって遺族は「本人が生きていたらどんな方法を希望するだろうか」と考え、できるだけ本人の意向を尊重しようとするものです。ですが、実際には本人が望まないかたちで進行させてしまう可能性もあります。

 

エンディングノートは、そうした本人の希望を詳細に記載できるので、亡くなった本人の希望をかなえられるだけでなく、遺族にとっても葬儀などの手続きもスムーズに行う役割も果たします。

 

このような医療や葬儀、財産などの事務的な連絡事項を残すだけでなく、残された人へのメッセージをつづるページもあります。ノートを通じて感謝の気持ちを伝えたり、励ましの言葉などを残したりすれば、遺族にも喜ばれるはずです。

 

 

エンディングノートに記載するべき内容

 

ではエンディングノートに記載するべき内容を詳しくご紹介します。

 

1.自分の基本情報

名前、生年月日、住所、電話番号、血液型など

 

 

2.介護についての希望

・介護してほしい人・場所

・介護費用を用意する方法について

 

3.ターミナル(終末期)の希望

・告知の希望

・延命措置の希望

・臨終を終える場所

・ホスピスについての希望

・献体・臓器提供などの希望

 

4.連絡してほしい知人リスト

名前、間柄、住所、電話番号、メールアドレスなど

 

5.葬儀について

・葬儀会場、業者の希望

・喪主の指定

・葬儀の規模

・葬儀費用をまかなう方法

・宗派

・遺影

・戒名

・装束

・副葬品

・世話役の有無

・香典返しの希望

・会葬礼状、祭壇飾り、精進落としについての希望

 

6.ペット(飼育している場合)

・自分の死後、ペットの飼育者の指定

・ペットの名前

・好きな食べ物や遊び

・かかりつけの病院など

 

7.財産の管理

・認知機能の衰えや寝たきりなどにより、自ら財産管理ができなくなったときの対応

・資産の記録

 預貯金、株式、有価証券(国債・投資信託など)、不動産など

 

・その他財産的価値のあるものについて

 宝飾品、美術品、骨とう品など

 

・形見分けの希望

 自分の私物の処分方法や形見分けを希望する場合、誰に何を残したいかを記録

 

8.加入している保険の記録

 個人年金保険、公的年金、生命保険、火災保険など

 

9.債務

借入金、負債など

 

10.デジタル情報

・パソコン起動時のパスワード

・スマホのロック解除方法

・各種SNS、会員登録しているサイトのID・パスワードなど

 

11.墓の希望

・墓の有無

・墓の承継者

・家墓以外への埋葬、散骨を希望している場合の納骨方法

・四十九日や年忌法要についての希望

 

12.遺言の有無

遺言の形式、保管場所など

 

エンディングノートは、遺言書と違い法的効果がありません。エンディングノートに遺言を残しても法的効果が及ばないため、希望通りの遺産分割が行われなかったり、相続人同士で揉めたりする可能性もあります。遺言書は、エンディングノートとは別に、正しい書式に基づいて作成しましょう。

 

13.自分史

これまでの人生を振り返り、幼少時代のエピソードから最もうれしかったこと、とても印象に残った出来事など、書き残しておきたいことを自由に記載します。「何を書けばいいかわからない」という方は、次の項目を参考にしてください。

・自分史年表

・印象的な思い出(学生時代~社会人、定年後など)

・夫婦の思い出(出会い、初デート、プロポーズなど)

・両親、兄弟姉妹、祖父母の思い出や印象に残ったエピソード

・大切な言葉や恩人

・いま気がかりなこと

 

14.家族へのメッセージ

残された家族に対する最期の言葉としてつづりましょう。自由なメッセージで構いませんが、個人的な怨恨や贔屓、家族に対する悪口は避けた方が賢明です。エンディングノートを見返した家族の心象が悪くなりますし、無用なトラブルを招く恐れもあります。

 

こうしたネガティブな気持ちをどうしても書きたいときは、一度気持ちを整理し、なおかつ感情的にならず冷静に、読む人の気持ちを考えたうえで書いてみると良いでしょう。

 

 

まとめ

ここでご紹介したこと以外にも、書きたいことがあれば自由に書き綴っていきましょう。書いていくうちに、これまでの人生を振り返られると同時に、残された人生をどう生きるべきかが見えてきます。

 

また、エンディングノートは使い方も自由です。デジタル情報であるIDやパスワードなど、生前に見られたくないページがあれば、テープを張り合わせておいてもいいでしょう。

 

ここでご紹介した内容すべてを記載する必要はありませんが、わかるところや今の段階で自分が希望することがあれば、順次書き始めてみましょう。あまり形式にこだわらず、自分の思いを率直に書き綴ってみてはいかがでしょうか。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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